1. 何でもない夜に
平和大通り沿いのホテルにチェックインし、PCを閉じる。
時刻は20時。流川の喧騒へ繰り出すほど若くもなく、かといってコンビニ飯で済ませるほど枯れてもいない。
静かな夜を求め、十日市で降りた。出張の夜くらい、誰にも邪魔されず、いいものを食べたい。
2. 19席の聖域
戸を開けると、L字のカウンター席が視界に入る。
全19席というコンパクトな作りだ。カウンターの端には、一人でグラスを傾けている男がいる。
それで十分だった。誰とも話さず、黙って酒を飲める空気がある。この店は大丈夫だ。
3. 晩酌セットという最適解
席に着き、「晩酌セット(肴盛)」を頼む。2,600円。
肴盛三種、刺盛、逸品、そして一杯。出張帰りの一人飲みには、このお膳立てがちょうどいい。
まずは刺盛が運ばれてきた。角が立ち、皿の上で冷たく光っている。
醤油を弾く新鮮な白身の脂が、舌の上で静かに解けた。
合わせるのは広島の地酒だ。キレのある酒が、魚の旨味を洗い流していく。派手さはない。だがこのシンプルさが、疲れた夜には正しい。
追加で「おきまり(5品、2,600円)」に切り替えることも頭をよぎったが、今日はこの量で十分だ。
4. 完結する夜
時計を見た。気づけば1時間が過ぎていた。
会計は4,000円弱。表に出ると、夜風が少し冷たかった。
来週も、ひとりでふらっと入れる店を探しに行きます。
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