[胡町]「厨 朱竹」。会食の疲労を洗い流す、六千円台の静寂。

和食・小料理

21時半。形ばかりの会食を終え、流川の喧騒から逃れるように胡町の路地へ入る。口の中に残る薄っぺらい愛想笑いの味を、まともな酒で洗い流したかった。バイオレットビルの4階。「厨 朱竹」。エレベーターを降りると、そこには街の騒がしさと無縁の静寂があった。

暖簾をくぐる。カウンターには先客が一人だけ。拳三つ分の間隔が空いている。静かな大将の所作だけが、空間にリズムを刻んでいた。胡町電停からわずか2分。だが、心理的な距離は果てしなく遠い。それでいい。こういう隠れ家を探していた。

メニューは基本、おまかせだという。まずはビールではなく、冷たい日本酒をもらう。6,000円の「おまかせコース」に身を委ねることにした。

目の前に「自家製カラスミ」が置かれる。ねっとりとした塩気が、舌の裏側まで絡みつく。すかさず日本酒を流し込む。会食での疲れが、アルコールと共にゆっくりと溶けていく。

続いて「穴子しゃぶしゃぶ」。薄く引かれた穴子を、出汁にさっとくぐらせる。表面が白く縮んだところを引き上げ、口へ運ぶ。噛むほどに、瀬戸内の穴子特有の甘みが静かに広がる。派手さはない。ただ、実直な仕事がそこにある。

1時間半。六千円を少し超えた。出張の経費では落ちないが、自分のための夜にはこれくらいの重さがちょうどいい。不定休という静かなスタンスも、この店に似合っている。表に出ると、夜風が少し冷たかった。

来週も、ひとりでふらっと入れる店を探しに行きます。

アクセス 広島電鉄 胡町電停 から徒歩2分
営業時間 17:30~23:00
定休日 不定休
一人予算 6,000円〜8,000円

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