19時半。ホテルの硬いベッドで少しだけ目を閉じ、ネクタイを緩めた。
シャワーを浴びる気にもなれず、そのまま革靴を履き直す。
銀山町の電停から歩いて数分。原田ビルの3階に、その店はある。
看板の控えめな灯りが、今の自分にはちょうどいい。
ドアを開ける。
土壁と木の静かな空間がそこにあった。
カウンターは5席。端の席に腰を下ろす。
隣との距離は十分にある。誰の視線も気にならない。
まずは瓶ビールを頼む。
グラスに注ぐ音が耳に届く。
メニューに目を落とす。気取った料理はない。
「名物もち米しゅうまい」(308円)。
蒸篭から湯気が立ち上る。
箸で割る。もち米の香りが鼻を抜けた。
熱を帯びた餡が、胃の底に落ちていく。悪くない。
続いて「お出しの塩唐揚げ」(748円)。
噛む。鶏の脂と出汁の重みが舌の上に広がる。
ビールで流し込む。
手作りの味が、体の芯に染みていく。
旬のお刺身盛合わせが、カウンターの奥を通っていく。
客が短い言葉を交わしている。
過剰な干渉はない。ただ、そこにあるだけの心地よい距離感だ。
1時間半。五千円台。
この立地と味なら、賢い選択をしたと言える。
店を出ると、銀山町の夜風が少し冷たかった。
来週も、ひとりで来ればいい。
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| アクセス | 広電 銀山町電停から徒歩2分 |
|---|---|
| 営業時間 | 18:00 – 23:00 |
| 定休日 | 日曜(※祝日が日・月の場合は休み) |
| 一人予算 | 5,000円台 |