月曜、19時半。今回の広島出張もようやく終わりが見えてきた。明日の始発で東京へ戻る。ホテルのベッドでスマホを眺めるのは、今の自分にはあまりに味気ない。幟町の静かな通り、ビルの2階へ向かう階段に足をかけた。少し重い暖簾をくぐると、期待通りの静寂がそこにあった。
入店の判断
階段を上がった先にある、落ち着いた引き戸。隙間から見えるカウンターには、先客が一人。その距離感、拳三つ分。ここなら、邪魔されることはない。白木のカウンターが放つ柔らかな光が、疲れの溜まった目に心地よかった。店主の「いらっしゃいませ」という声も、温度が低くて助かる。
実食
今夜は、六千五百円のおまかせコースに身を委ねることにした。
突き出しの後、運ばれてきたのは小イワシの天ぷら。広島の夏、いや、季節を問わずこの魚の脂は裏切らない。サクリとした歯応えの後に広がる、淡い苦味。これが地酒の喉越しを鋭くする。
アジフライは、レアな仕上がりが美しい。タルタルに頼らず、ほんの少しの塩で。魚の甘みが、直接舌を撫でる。
追加で頼んだ鳥肝の低温調理。ねっとりと絡みつく濃厚なコクが、最後の一杯を誘った。気づけば、仕事の懸案事項はどこかへ霧散していた。
チェックリスト
| 一人飲み難易度 | ★☆☆(非常に快適) |
| 店内の騒音 | 静か。BGMも主張しない。 |
| 店主の干渉 | 程よい距離。必要なこと以外、声はかからない。 |
| 予算目安 | 7,000円〜9,000円 |
この店に向いている人
- 出張の最後を、一人で静かに締めたい人
- 賑やかな居酒屋よりも、手元の料理と向き合いたい人
- 幟町の「隠れ家」という言葉に、嘘がない場所を探している人
こちらの店も、静かです。
来週も、ひとりで。