居酒屋 一のや[銀山町]。江田島軍鶏と地酒、ビルの奥に潜む隠れ家

居酒屋

会食が終わった。意味のない相槌と、乾いた笑いを繰り返した2時間。ホテルの冷たいベッドに直行するには、まだ少し神経が尖りすぎている。
銀山町のネオンを抜け、薬研堀通りから路地へ。静寂に身を浸せる場所が欲しかった。

ビル奥の静寂

華やかな通りから一歩入ったビルの1階。その一番奥に「一のや」はある。
目立つ看板はない。意図的に喧騒を遠ざけているような、その佇まいが心地いい。
扉を開けると、そこは別世界だった。全18席という小ぢんまりとした空間。6席の白木カウンターには先客が一人、静かにグラスを傾けている。私もその端に腰を下ろし、ようやくネクタイを緩めることができた。

江田島軍鶏とコウネの炙り

まずは角ハイボールで、喉に残る乾きを洗い流す。
アテには、広島ならではのものを。「和牛コウネの炙り刺し」のハーフサイズを頼む。脂の甘みが舌の上で溶け出し、炙られた香ばしさが鼻を抜ける。わさびの辛味がそれを引き締め、酒を煽るペースが自然と早まる。
続いて、江田島軍鶏の水晶焼き。弾力のある肉質を噛みしめるたび、力強い旨味が溢れ出す。それに合わせるなら、地酒しかない。地中から湧き出たような重厚な冷酒を流し込み、軍鶏の脂を心地よく切る。

四千円台の聖域

酒を重ね、料理に耽った。
会計は四千円台。この立地と味、何より「一人の静かな時間」を買ったと思えば、賢い選択をしたと言える。
店を出ると、銀山町の夜風が火照った顔に心地よかった。明日は早い。だが、今日の澱はすべてこの店に置いていくことができた。

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アクセス 銀山町電停から徒歩3分
営業時間 18:00 – 00:00
定休日 日曜日(月曜祝日の場合は営業)
一人予算 4,000円〜5,000円