平和大通り近くのホテルにチェックインし、重いPCをデスクに置く。
時刻は19時半。流川の喧騒へ踏み込むほどの気力はない。
袋町の暗がりを歩く。今夜はただ、腹の底から温まる静かな何かが欲しかった。
ビルの2階。階段を上がり、控えめな扉を開ける。
目に飛び込んできたのは、清潔な白木のカウンターだった。
テーブル席はパーテーションで仕切られ、他人の視線は遮断されている。
カウンターの端には、一人で杯を傾ける先客の背中。
店内のBGMは絞られ、出汁の香りがかすかに漂う。
これなら、自分のペースを乱されることはない。迷わず空いた席に腰を下ろした。
まずは「おでん七種盛り」を頼む。
大根、厚揚げ、こんにゃくに、透き通った黄金の出汁が張られている。
箸を入れると、大根が抵抗なく崩れた。
一口すする。尖った塩気はなく、昆布と鰹の深い旨みが舌から喉へ、じんわりと落ちていく。
広島での出張の疲れが、この温かさで少しずつ溶け出していく感覚がある。
合わせるのは、冷えた麦酒ではなく静かな冷酒だ。
締めには焼きおにぎりを注文する。
熱々の出汁をかけて崩しながらすすると、香ばしさと旨みが一体になった。
1時間ちょっとの滞在。会計は4,200円。
階段を降り、袋町の通りに出る。
夜風が冷たかった。それだけで十分な夜だった。
| アクセス | 立町電停・本通電停から徒歩3〜5分 |
|---|---|
| 営業時間 | 17:30~23:00(L.O. 23:00) |
| 定休日 | 月曜日 |
| 一人予算 | 約4,000円 |
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