金曜、17時。
広島駅南口。新幹線を降り、駅ビルの眩しさから逃げるように裏路地へ。
そこには、戦後の広島を支え続けてきたような、枯れた色合いの暖簾が揺れている。
「源蔵本店」。
扉を開けると、そこは昭和だった。
長いカウンター。年季の入った品書き。
ここには、流行も、気取った接客も、無用なBGMも存在しない。
あるのは、静かに酒を流し込む男たちの背中だけだ。
「小鰯の刺身」を頼む。
広島の海の恵みを、最も素朴な形で。
小鰯の銀色が、カウンターの照明にぼんやりと反射する。
一口運べば、その繊細な甘みが舌を撫でていく。
合わせたのは、常温の地酒。
洗練された旨味ではない。だが、この空間にはこの酒が一番似合う。
店内のテレビから流れるニュースの音をBGMに、独りで杯を傾ける。
出張という日常の延長線上で、ふと現れる、この「時間の空白」。
それこそが、一人飲みの真髄だ。
30分。会計は二千円台。
二千円でお釣りが来る。出張の余韻としては、これ以上ないコストパフォーマンスだ。
店を出ると、まだ明るい街の景色が少しだけ違って見えた。
時代が変わっても、ここだけは変わらずにいてほしい。
来週も、ひとりでふらっと入れる店を探しに行きます。
| アクセス | JR広島駅南口より徒歩4分 / 猿猴橋町駅より徒歩2分 |
|---|---|
| 営業時間 | 10:00〜21:00(要確認) |
| 定休日 | 無休(要確認) |
| 一人予算 | 1,500円〜3,000円 |