19時半。ホテルの冷えた空気に、少し飽きた。
中央通りの喧騒を横目に、三川町の路地へと入る。
今夜は、少しだけ背伸びをしたくなった。
階段を上がり、二階へ。
扉を開けると、そこに広がっていたのは清潔な白木のカウンターだった。
どこからか、微かに水が流れる音が聞こえる。
ミシュランの星を冠した店、という肩書きは、この静寂の前では無意味に思えた。
穴子の薄造りが、運ばれてくる。
透き通るような白身。歯を押し返すような弾力。
広島の海の重みが、噛むほどに舌に溶け出していく。
合わせたのは、呉の銘酒「宝剣」。
切れるような辛口が、穴子の甘みを鮮やかに引き立てた。
店主の手元は無駄がなく、かといって過剰な緊張感もない。
放っておいてくれる、という贅沢。
一人でいることの正しさを、この白木の上が証明している。
| アクセス | 広電八丁堀駅より徒歩7分 |
|---|---|
| 営業時間 | 17:30 – 22:00 |
| 定休日 | 日曜日 |
| 一人予算 | 10,000円〜15,000円 |
こちらの店も、静かに飲める。