胡町、薬研堀通り沿いのビル。
エレベーターで5階へ上がり、扉が開く。
そこには、地上の喧騒を忘れさせる「小料理屋 永山」の世界が広がっている。
21時半。少し仕事が長引いた。
派手な料理は必要ない。ただ、体に染み渡るような優しい味が欲しい。
カウンター7席の、こぢんまりとした空間。
ここには、一人の客を受け入れるための完璧な静寂がある。
丁寧に引かれた出汁の香り。
季節の小皿料理をつまみながら、ゆっくりと夜を閉じていく。
そして、この店の最後は決まっている。「おにぎりと味噌汁」だ。
ふっくらと結ばれた米、豊かな香りの味噌汁。
それは、疲れ果てた一日の終わりを肯定してくれる、最高のご馳走だ。
窓の外には薬研堀の街明かり。
5階という高さが、地上との絶妙な距離感を作っている。
誰にも邪魔されない、自分だけの聖域。
一時間半。五千円台。
この静寂と時間を独占した代償だ。惜しくはない。
エレベーターを下りて地上に戻ると、少しだけ足取りが軽くなっていた。
来週も、ひとりでふらっと入れる店を探しに行きます。
| アクセス | 銀山町電停から徒歩2分 |
|---|---|
| 営業時間 | 18:00~22:00(金土は23:00) |
| 定休日 | 日曜・祝日 |
| 一人予算 | ¥5,000〜¥6,000 |