ホテルで一息ついた後。薬研堀のネオンを抜け、少しだけ背筋が伸びる扉を開ける。今夜は、煙と炭の香りに身を委ねたい。
静けさという名の前菜
胡町駅から歩いて数分。薬研堀の喧騒のすぐ近くにありながら、「焼鳥 高瀬」の扉の向こうには別世界のような静寂が広がっていた。落ち着きのある大人の隠れ家。カウンターの質感、照明の落とし方。すべてが一人客を優しく、しかし凛と迎え入れてくれる。コートを預け、席に沈み込む。まずは生ビールを頼む。きめ細かい泡が、一日の疲れを静かに溶かしていく。
黒さつま鶏と名古屋コーチンの矜持
ここでは備長炭で焼き上げる黒さつま鶏と名古屋コーチンが堪能できる。まずは、ささみのサビ焼きから。絶妙な火入れで、中心はほんのりとレア。わさびの香りがツンと鼻を抜け、鶏の甘みが後を引く。
続いて、ねぎま、レバーと串が進む。レバーは臭みが一切なく、舌の上でとろけるような濃厚なコクがある。合間に挟む箸休めの水菜も、梅肉と胡麻油のバランスが絶妙で、これだけでも酒が飲める。酒は、大将に任せて辛口の地酒をもらう。炭火の香ばしさと、米の旨味が完璧に調和する。
静寂を独占する代償
会計は一万円に近い。決して安くはない。
一万円近い。だが、この静寂と時間を独占した代償だ。惜しくはない。
暖簾をくぐり、外に出る。薬研堀の風が少しだけ冷たい。胃の中の心地よい重さと、舌に残る炭の香りを反芻しながら、私はホテルへの帰路についた。明日の仕事も、悪くない結果が出そうだ。
■ 近くの店・似た店
広島一人飲み|酒肆 なわない[銀山町]
広島一人飲み|串焼 またたび[堀川町]
| アクセス | 胡町駅から徒歩約3分(257m) |
|---|---|
| 営業時間 | 18:00 – 23:00(要確認) |
| 定休日 | 日曜日(要確認) |
| 一人予算 | 8,000円〜9,999円 |