21時半。会食を終え、流川のネオンを少し外れた路地へ。まだホテルには戻りたくない。この街の輪郭を、もう少したしかめたかった。
琥珀色の油と白木のカウンター
流川町6番地。喧騒からわずかに距離を置いた場所に「かつ一」は静かに息づいている。
扉を開けると、油の甘い香りが鼻をくすぐる。全24席、うちカウンターは8席。一見の一人客である私を、店主は静かな目礼で迎え入れてくれた。
白木のカウンターに腰を下ろす。目の前では、琥珀色の油が静かに波打っている。BGMよりも、衣が爆ぜるかすかな音が心地よい。
蒲刈の藻塩と「ふろふき大根」の串
まずは生ビールで喉を洗い、串を何本か見繕う。
最初に出されたのは「ふろふき大根のあんかけ」の串揚げだ。たっぷりと出汁を含んだ大根が、薄い衣に閉じ込められている。一口噛むと、熱々の出汁が衣を破って溢れ出した。揚げることで生じる、輪郭の際立った旨味。
調味料にも隙がない。イカリソースをベースにした特製ソースも良いが、蒲刈産の藻塩に三種の薬味をブレンドしたという焼塩が秀逸だった。地元食材の串に、この藻塩を少しだけつけて口に運ぶ。
五千円台の納得。夜の余韻
日本酒を二合ほど傾け、何本かの串を追加したところで、すっかり満ち足りてしまった。
会計を頼むと、五千円台の半ば。五千円でお釣りが来るわけではない。出張の経費では落ちないが、自分のための夜にはこれくらいの重さがちょうどいい。
| アクセス | 胡町駅電停から徒歩6分 |
|---|---|
| 営業時間 | 18:00 – 23:00 |
| 定休日 | 月曜日・日曜日 |
| 一人予算 | 約5,000円 |