[横川]「路地裏」。高層住宅の影、一人カウンターでやり過ごす出張の夜。

一人飲み

入店:初見殺しの路地裏で

平和大通り沿いのホテルにチェックインし、PCを閉じる。時刻は20時。
流川の喧騒へ繰り出すほど若くもなく、かといってコンビニ飯で済ませるほど枯れてもいない。
横川駅の北口、セブンイレブンを過ぎた高層住宅の影に、その店はある。

看板がなければ、そこが居酒屋だとは気づかないだろう。
狭い扉を開けると、10席ほどのカウンターだけが視界に収まる。
端の席に、一人でグラスを傾けている先客の背中があった。
それで十分だった。

実食:破格の家庭料理と静寂

まずは「お刺身盛り合わせ」を頼む。
ニシンとアジが、狭いカウンターの木目に冷たく光っている。
醤油を弾く新鮮な脂が、舌の上で静かに解けた。
派手さはない。だがこのシンプルさが、疲れた夜には正しい。

次に名物だという「すじ煮込み野菜入り」を追加した。
里芋と人参が、大将自慢の出汁をたっぷりと吸い込んでいる。
一口ごとに、張り詰めていた肩の力が抜けていくのがわかる。
合わせるのは自分でクエン酸を入れるレモンサワー。
甘さ控えめの酸味が、すじ肉の脂を静かに洗い流す。

壁にはメニューが所狭しと貼られているが、値段は書かれていない。
「だし巻き明太子」も、迷わず頼んだ。
ふわふわの卵が、次の酒を要求してくる。
こういう店での会計は、野暮な計算を捨てるのが正解だ。

来週も、ひとりでふらっと入れる店を探しに行きます。

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