広島一人飲み|お好み焼 とんとん[薬研堀]。ビルの奥、24時間の鉄板。

お好み焼き

深夜1時。薬研堀のネオンは、今の自分にはあまりに騒々しい。
どこか、静かに、しかし納得のいく重さで今日を終わらせられる場所はないか。
大通りを右に折れ、雑居ビルの奥へと進む。
突き当たりに灯る赤提灯。「とんとん」の文字。
ここは、24時間、一人の男を拒まない聖域だ。

看板のない静寂。カウンターだけが、そこにある。

ビルの奥まった立地。一見客がふらりと入るには、少しばかりの勇気がいる。
だが、その壁を越えた先には、最高の「放っておいてくれる空気」が待っている。
店内は、使い込まれた鉄板を囲むカウンターのみ。
BGM代わりのテレビの音が、心地よい生活音として夜の孤独を埋めてくれる。
店主の無駄のない動き。それを見ているだけで、思考のトゲが抜けていくのがわかる。

肉玉そば、イカ天。深夜の熱気に、自分を浸す。

まずはビール。そして「肉玉そば、イカ天入り」を注文する。
鉄板の上で、キャベツが蒸され、麺が焼かれる音。
そのリズムに耳を傾けながら、冷えたグラスを傾ける。
出された一枚は、無骨だが丁寧な、広島の日常そのものだ。
コテで直接、口へと運ぶ。
ソースの香ばしさと、イカ天の歯ごたえ。
豪華な会食では決して味わえない、この「自分だけの正解」に辿り着いた安堵感。
深夜に一人、鉄板と向き合う。それだけで、明日もまた歩き出せる気がする。

今夜は、これでいい。

小一時間。会計は二千円台。
店を出ると、薬研堀の冷たい空気が心地よく肌を刺す。
この街のどこかで、24時間、鉄板の熱が灯り続けている。
その事実を知っているだけで、広島の夜はもう少しだけ、優しくなる。

今夜も、いい夜だった。


お好み焼 とんとん
広島県広島市中区薬研堀9-15
営業時間:24時間営業
定休日:水曜日

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